大きな災害が発生すると、地域の公民館や小中学校の体育館などに「避難所」が開設されます。避難所には設備や物資が十分ではなく、高齢者や子連れの親子、ケガ人など様々な人が集まります。4月に発生した熊本地震では、半年以上も経過した11月に閉鎖となった避難所もあり、避難期間が長期に及ぶ場合もあります。
「避難所」の様子を描いたイラスト
出典:『避難所運営の知恵袋(発行:特定非営利活動法人レスキューストックヤード)』
災害は、いつやってくるか分かりません。
また、一部の人だけで避難所運営の全てを担うことは困難です。いざという時には、みんなで協力し助けあいながら運営していく必要があります。
そこで、過去の震災でも目覚ましい活躍をした中高生を対象に、避難所について「知って・考えて・体験する」ための防災イベントを開催しました。当日は中学校1年生から高校3年生までの生徒さんが参加して、なかがわ災害ボランティアネットワークや区役所等の協力のもと、様々なプログラムを体験しました。
【プログラム①:災害について学ぼう】
まずは「地震」について学ぶDVDの視聴と、実際の「避難所」について写真を見ながら学ぶ講話からスタート。熊本地震で現地派遣された中川区役所職員さんを講師に、小学校体育館の避難所の実態や困りごと、工夫などを説明していただきました。
【プログラム②:避難所クッキング】
クッキング+試食、は内容が盛りだくさんなので、詳細は次の記事でご紹介します。【プログラム③:避難所を体験しよう】
体験は2つのプログラムで構成。1つ目は「HUG」と呼ばれる「避難所(H)運営(U)ゲーム(G)」です。避難所運営や避難生活をシミュレーションする中で、配慮が必要な人への対応や、運営の難しさ、自分達にできることなどを考えていきます。
実際に作成したシート。1枚ずつのカードに詳細な避難者情報が記載されています。
初めての経験に最初は戸惑いながらも、お互いの考えや意見を交えながら、避難者の配置や様々な不測の事態に対処していきます。参加者アンケートでは『ひなん所を運営するのはとてもむずかしく大変だった』『避難者にはそれぞれ問題があって対処するのがむずかしかったけど、たのしかったです。』といった感想をいただきました。
皆さんも想像してみてください。薄暗い学校の体育館で、見ず知らずの多くの人と一緒に、狭いスペース・硬い床の上で、毛布1枚で寝る夜を。想像を超えるストレスを感じる集団での生活環境です。
ひとりに割り当てられるスペースは、思った以上に狭く感じます。
この後、短時間だけ会場を消灯して、
様々な話し声や生活音の中で寝ることの難しさを体験しました。
今回の体験訓練を通して、普段の生活ではなかなか接点のない「避難所」について、少しだけ触れることができました。こうした知識や経験はイベントを起点にして、家庭や学校、地域での暮らしの中へ広げていく必要があります。今後もこうした機会を継続し、防災や減災の意識向上を図るとともに、いざ災害が発生した際に活躍できる担い手の養成を進めていきたいと思います。(渡辺)